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遺留分を解説|制度の趣旨や権利者、確保される相続財産の割合など

遺留分制度は相続法における重要な制度の1つです。相続人の生活を守るため一定の財産についての取得を保障していますので、遺言書が作成されている場合や多額の生前贈与が行われていた場合には同制度の内容を確認してみましょう。極端に相続分が少なくなったときは、遺留分を主張していくらか金銭を回収できるかもしれません。

 

遺留分制度の概要

 

遺留分制度は、一定の相続人に対して、被相続人の財産の一部を取得できる権利を保障するものです。この制度により、被相続人が遺言や生前贈与によって全財産を誰かに譲渡したとしても、法律で定められた一定の相続人は最低限の財産を取得することを主張することが可能となります。

 

《 遺留分制度の特徴 》

 

  • 法定相続人の一部に認められる権利
  • 被相続人による財産処分の自由に対する例外
  • 相続開始後に行使可能な権利
  • 金銭的請求権としての性質を持つ

 

なぜ遺留分制度ができたのか

 

遺留分制度が設けられた趣旨は、いくつかの点から説明することができます。

 

  1. 相続人の生活保障
    • もっとも重視されているのは「相続人の生活保障」。被相続人との関係が近い一定の相続人に対して、最低限の財産を留保することで、相続人の生活基盤を確保しようとしている。
    • 特に被相続人に経済的な依存をしていた方にとっては、当該制度が大きな役割を果たす。突然の相続開始により生活基盤を失うことを防ぎ、安定した生活を継続できるようにする。
  2. 財産形成への貢献の評価
    • 被相続人の財産形成に貢献してきた相続人に対し、その貢献を評価して報いる、という機能も有している。
    • 特に配偶者については被相続人とともに財産経営に関わってきたとも考えられる。
  3. 相続の公平性の確保
    • 被相続人の意思のみに基づいて相続が行われると、特定の相続人のみが利益を得、他の相続人が完全に排除されるという状況も起こり得る。遺留分制度はこのような極端な不公平を防ぎ、一定の公平性を確保する役割も果たす。

 

遺留分のルール

 

遺留分の割合、その権利を主張できる人、そして遺留分を確保するやり方(権利の内容を実現する方法)について詳しく解説していきます。

 

権利の主張ができるのは誰?

 

遺留分を主張できる人は、法律で明確に定められています。

 

これは被相続人との続柄により決まっており、実際の親密度などは関係ありませんし、すべての相続人に認められているわけでもありません。

 

《 遺留分を主張できる人(遺留分権利者) 》

 

  • 配偶者
  • 子ども(代襲相続人にあたる孫なども含む)
  • 直系尊属(親、祖父母など)

 

注意すべきは、「兄弟姉妹」には遺留分が認められていないという点です。

 

なお、養子であっても実子と同様に権利を持ちますが、実親を相続できる普通養子縁組とは異なり、特別養子縁組の場合は実親との関係において遺留分の権利を失います。

 

どの程度財産が留保される?

 

遺留分の割合も続柄によって異なります。一律の金額で決まるのではなく、相続人の組み合わせに応じて遺産総額に対する割合(総体的遺留分割合)をまずは算出します。
その後、各権利者が個別に持つ割合(個別的遺留分割合)を法定相続分に応じて算出します。

 

  1. 総体的遺留分割合・・・遺産総額に対する遺留分全体の割合を算出
    • ケース1:直系尊属しかいない場合は「 1/3
    • ケース2:その他の場合は「 1/2
  2. 個別的遺留分割合・・・各権利者が個別に持つ割合を算出
    • ①の割合に法定相続分を乗じて計算

 

例として、相続人が被相続人の妻と長男、次男、長女である場合を考えてみましょう。なお、遺産総額は 6,000万円とします。
①については、ケース2に該当しますので、遺留分として留保できる額は 3,000万円(= 6,000万円× 1/2)とわかります。そして②について、妻は 1,500万円(= 3,000万円× 1/2)、子どもは各々 500万円(= 3,000万円× 1/6)となります。

 

つまり、遺言書で友人に遺産のすべてを譲与されていても、妻は 1,500万円まで、子どもたちはそれぞれ 500万円まで取得することが法的に認められるのです。

 

どうやって遺留分を確保する?

 

遺留分は自動的に確保され、権利者の手元に入金されるものではありません。遺留分権利者が積極的に行動を起こす必要があります。

 

請求の方法に決まりはありませんので、少なくとも、受遺者や受贈者など遺留分侵害の原因となった相手方に対して「遺留分侵害額○○万円を支払って下さい。」と意思表示をすれば効力が得られます。

 

ただし、口頭だと証拠が残らず権利を主張したという事実が客観的に示せないため、書面または電磁的記録など形で残るように請求をするべきです。

 

当事者間の協議ですぐに解決することもありますが、これが難しい場合には裁判所に解決を求めて調停や訴訟を申し立てることもできます。

 

遺留分の請求(遺留分侵害額請求)のポイント

 

各自に認められる遺留分のうち、取得できなかった金額についてのみ請求することが可能です。このときの請求を「遺留分侵害額請求」と呼び、請求にあたっては以下のポイントを押さえておくことが大事といえます。

 

  • 遺留分侵害額の確認・計算方法
    • 個別的遺留分が 500万円だとして、実際に取得できたのが 300万円とすれば、遺留分侵害額は 200万円と計算できる。
    • 過去に被相続人から贈与を受けていると請求額が変わることもあるため要注意。
  • 請求権行使の方法
    • 上記のとおり請求の手段に制限はないが、証拠が残るようにしておくべき。
  • 請求権には消滅時効がある
    • 一定期間請求をしなければ権利が消滅してしまう。
    • 消滅時効期間は「相続の開始および侵害の事実を認識したときから1年」または「相続の開始から 10年」のいずれか早い期間である。
  • 弁護士の利用
    • 金銭の請求により対立関係ができてしまう可能性がある。
    • 訴訟までトラブルが発展すると余計な時間とコストが発生するため、そうならないよう弁護士を活用すると良い。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
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