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土地の境界線で起こるトラブルの例とその対処法とは

「お隣と境界線のことで揉めた」「境界線がはっきりしない」など、土地の境目でトラブルが起こることもあります。このような問題に対しては弁護士や土地家屋調査士に相談するのが一番ですが、土地を所有する方自身でも基本的な対処法については押さえておくと良いでしょう。

 

境界線トラブルの例

 

境界線に関するトラブルとしては、次のような例を紹介することができます。

 

  • 境界標を勝手に移動させられた
  • 間違えて境界標を破損・撤去してしまった
  • 認識していた境界線と実際の境界線が違っていた
  • 塀が境界線をはみ出していることに気が付かず立ててしまった
  • 庭木の枝葉が塀を超えて侵入してきている

※「境界標」は、コンクリートや御影石、プラスチックなどからできた杭で、境界線を管理するために作られるもの。上部には十字や矢印が刻まれている。

 

これらの事情があってもすぐに大きなトラブルが起こるわけではありません。

実害が出るまで放置されていることも珍しくありませんが、あとあと大きな問題が起こってしまう前に対処はしておきましょう。

 

トラブルへの対処法

 

境界線トラブルの内容別に対処法をそれぞれ説明します。

 

境界付近で工事を行う場合

 

境界付近で工事を行ったとき、誤って境界標を移動してしまったり、破損・撤去をしてしまったりすることがあります。

このような事態にならないよう、境界近くで工事を行うなら着手する前に立ち会い確認を行い、現場の写真撮影などを行っておきましょう。

 

境界周囲の構造物との位置関係なども記録するとともに、隣地所有者などとも打ち合わせをしておくとより安心です。

 

こうして事前に手を打つことで、正確に復元することができ、余計なトラブルが起こるのを防ぐことができるでしょう。

 

境界標が撤去されてしまった場合

 

すでに工事により境界標を撤去してしまっている場合は、地積測量図や境界確認書、土地境界確定図面などの資料を基に復元を目指します。

 

座標値の資料があれば、残っている基準点や境界点の点検測量により比較的容易に元に戻せるでしょう。

一般の方による対応は難しいため専門家に任せると良いです。

 

境界線を越えて物が置かれている場合

 

境界線を越えて物が置かれていると考えるとき、まずは境界線をはっきりさせる必要があります。

過去の資料から境界を確認。現況の測量を実施。お隣同士了承のうえ境界標を設置するなどして位置を明確にしましょう。

 

境界線を越えてこちら側を侵害していることがはっきりすれば、相手方に除去を求めましょう。「なかなか応じてくれない」「落ち着いた話し合いができない」といった事情があるときは特に弁護士のような第三者が間に入る必要性が高いです。大きな紛争になる前にご相談ください。

 

境界線付近での迷惑行為がある場合

 

境界線を越えているなど明らかな違法行為がなくても、境界付近ではさまざまな問題が起こることがあります。

 

例えば「すぐ隣で工事を始めて振動や騒音が発生している」「境界ギリギリのところまで建築しようとしている」「勝手に境界付近に塀を設置している」「隣から落ち葉や雨水が落ちてくる」などの問題に悩まされている方も少なくありません。

 

明らかな違法行為、罪に該当する行為があれば、その点を突いてご自身の権利を主張することができます。

しかし違法と言い切れない行為については相手方との交渉で解決を目指す必要があります。

 

その際は互いに譲歩する姿勢が必要です。

権利主張を繰り返してばかりだといつまで経っても問題は収まりませんし、お隣との関係性も悪化してしまいます。

 

当事者だけで話し合っていると埒が明かないことも多いため、裁判所の手続きを利用したり弁護士を間に入れたりすることも検討してください。

 

境界標の管理で土地を守ろう

 

境界線に関するトラブルに対しては、「境界をはっきりさせておく」ことが一番の予防となります。そのためにもまずはご自身の土地に境界標があることを確認しておきましょう。何かの原因で移動・破損などが起こっている可能性もありますので、土地家屋調査士にも相談することが有効です。

 

また、現地の状況と登記上の記録が相違している可能性もあります。ずれているときは登記申請を行い、現状と一致させておきましょう。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
アクセス 東京メトロ丸の内線「本郷3丁目駅」より徒歩6分、「御茶ノ水駅」より徒歩6分
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