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連絡が取れない相続人がいるときに必要な対応

相続に関連して、相続人全員が協力しないと進められない、あるいは難航する手続きがあります。そのためどうしても連絡が取れない方がいると手続きが思い通りに進められません。

このような場面ではどう対応すればいいのでしょうか。検討すべき措置・手続きをここで解説しています。遺産分割協議等が進められず困っている方はぜひ参考にしてください。

 

相続人全員を把握する必要性

 

相続の手続きを進めるうえでまず取り組みたいのが、「すべての相続人を正確に把握し、連絡が取れる状態にすること」です。

 

相続人が揃わないと進められない手続きがあり、特に次の事項に関して悩む可能性が高まります。

 

問題となるケース

具体的な影響

遺産分割ができない

・相続人の全員が合意しなければ成立しない。

・相続財産の分配が決まらず、各種手続きが停止する。

財産の管理・処分が困難

・遺産分割が完了せず共有状態にある財産については、売却等の処分に相続人全員の同意が必要。

・不動産の預金口座の名義変更なども進められない。

相続税申告の遅延

・相続税の申告期限は原則として10ヶ月以内

・遺産分割未了により申告期限に間に合わない、もしくは法定相続分でいったん申告をした場合でも遺産分割後あらためて申告手続きに対応しなければならない

 

連絡の取れない相続人がいることで多くの手続きが遅延してしまいます。税制上のペナルティを受けるおそれもありますし、その間に不動産などの財産の価値が変動する可能性もあります。

 

相続人と連絡が取れないときの対応

 

相続人と連絡が取れないとき、まずは自分でできる範囲の調査から始め、それでも解決しない場合は法的手続きを検討すると良いでしょう。いくつかのアプローチ方法がありますので、それぞれ紹介していきます。

 

住所を調べる

 

まずは連絡が取れていない方の住所の確認を進めましょう。

 

「戸籍附票」を取得することができれば、その方の住所の履歴を追跡できます。

※戸籍附票は本籍地の市区町村役場で取得でき、相続人であるなど「本人との利害関係があって戸籍を請求する正当な権利がある」といえる方なら請求が認められる。

※本人の本籍地を把握している必要がある。

 

また、「住民票の写し」の取得も有効な手段です。最後に把握していた住所地の市区町村役場に問い合わせることで、転出先の情報を得られる場合があります。

 

ただし、個人情報保護の観点から第三者への情報提供には制限があるため、相続人であることを証明する戸籍謄本などの書類が必要になります。

 

手紙等で連絡を試みる

 

住所が判明したら、書面で連絡を取ることも試してみると良いです。手紙には被相続人が亡くなったこと、相続が開始されたこと、遺産分割協議に参加していただきたい旨を明記します。また、連絡先として自分の住所、電話番号、メールアドレスなども記載し、返事がしやすい環境を整えることも大切です。

 

慎重に対応を進めるのであれば、内容証明郵便を活用して送付した事実を記録に残すことも検討しましょう。

 

現地への訪問

 

一向に返事が返ってこない場合であって住所がわかっているのであれば、自宅を訪問してみることも検討します。

 

もし本人が不在の場合でも、近隣住民や管理人、知人などから情報を得られる可能性があります。「○○さんという方を探している」と伝えることで、引っ越し先の情報や連絡先を教えてもらえるかもしれません。

 

遺産分割調停を申し立てる

 

相続人の存在や居場所は分かっているものの遺産分割協議に応じてもらえない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てましょう。

 

調停は裁判所が仲介役となって行う話し合いの手続きで、訴訟と比べて費用も安く、解決までの期間も短い傾向にあります。

 

調停の申し立てを行うと裁判所から相手方に通知が送られ、これを受けて対応を放置し続けていた相続人が動いてくれる可能性があります。

 

なお、調停が不成立になった場合は審判手続きへと移行し、裁判所が遺産分割方法を決定してくれます。

 

不在者財産管理人を選任してもらう

 

行方が分からない・居住実態がない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることができます。

※不在者財産管理人は、行方不明者に代わって財産管理や法律行為(遺産分割協議など)を行う権限を持つ。

 

この制度を利用することで、不在者財産管理人が行方不明の相続人の代わりに遺産分割協議に参加し、協議を成立させることが可能になります。ただし、申し立てには不在の事実を証する資料や不在者との関係性を示す戸籍書類などの用意が必要で、また、不在者財産管理人に対する報酬の支払いも発生することに注意が必要です。

 

失踪宣告を申し立てる

 

連絡の取れない方が7年以上行方不明で生死が不明な場合、家庭裁判所に「失踪宣告」の申し立てを行うことができます。

 

失踪宣告が認められると、法律上その人は死亡したものとみなされ、相続関係を整理することもできます。

 

ただし、当該制度の利用は慎重に判断しましょう。一度失踪宣告がなされた後で本人が現れると、予期せぬ法的トラブルに発展する可能性があります。

 

対応に困ったときは弁護士に相談

 

連絡が取れない相続人がいる場合の対応は、戸籍の取得から場合によっては家庭裁判所での手続きまで必要になることもあり、専門的な知識が求められます。そこでなるべく早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。

 

弁護士であれば個々の状況に応じた最適な解決策を提案し、複雑な手続きを代行することもできます。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
アクセス 東京メトロ丸の内線「本郷3丁目駅」より徒歩6分、「御茶ノ水駅」より徒歩6分
JR線「御茶ノ水駅」より徒歩8分
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