遺産分割の手続きを比較|協議・調停・審判の特徴とメリット・デメリットについて解説
一連の相続手続きのなかでも特に注視すべき手続きが「遺産分割」です。
遺産分割のやり方としては、当事者間で話し合う「遺産分割協議」や、家庭裁判所の仲介のもと話し合う「遺産分割調停」、そして裁判所が判断を下す「遺産分割審判」の3つがあり、それぞれに異なる性質を持っています。
どんな場合にどの手続きを利用することになるのか、当記事では各種遺産分割の手続きについて解説していきます。
遺産分割の3つの手続き
遺産分割とは、「相続人間で被相続人の財産をどのように分けるかを決める手続き」のことです。その具体的なやり方として3つの手続きを挙げることができますが、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
まずは「遺産分割協議」
遺産分割協議は、相続人同士が話し合いによって遺産の分割方法を決めるもっとも一般的な方法です。法的な介入なしに、当事者間で自由に合意形成を行うことができます。
メリット | デメリット |
---|---|
・費用がほとんどかからない ・比較的短期間で解決可能 ・柔軟に解決策を見出せる ・プライバシーが守られる | ・相続人全員の合意が必要 ・知識不足で不公平になる可能性がある ・感情的な対立が生じやすい ・強制力がなく紛争になる可能性がある |
遺産分割協議は、相続人間の関係が良好で、遺産の内容が比較的単純な場合に適しています。ただし、複雑な財産がある場合や、相続人間で意見の相違がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
協議が難航したときの「遺産分割調停」
当事者間での協議がうまくいかない場合、次の段階として調停を検討します。これは、家庭裁判所が仲介役となり、当事者間の合意形成を支援する制度のことです。
メリット | デメリット |
---|---|
・専門家(調停委員)のサポートが得られる ・法的な知識に基づいた公平な解決が期待できる ・強制力はないが合意には法的効力がある ・柔軟な解決策を見出せる可能性がある | ・費用がかかる(申立手数料、弁護士費用など) ・時間がかかる(数ヶ月~1年程度) ・全員の合意が得られないと不成立になる |
調停は、協議では解決できない複雑な事案や、相続人間で対立している場合に有効です。調停委員の助言を得ながら、冷静に話し合いを進めることができます。
調停で解決しないときの「遺産分割審判」
調停でも合意に至らない場合、最後の手続きとして審判が行われます。これは裁判官が法律に基づいて遺産分割の内容を決定する手続きです。
メリット | デメリット |
---|---|
・裁判官の判断により結論を出せる ・法律に基づいた公平な判断が期待できる ・当事者の合意が不要 ・判断に法的拘束力がある | ・時間がかかる(1年以上かかることも) ・柔軟な解決が難しい ・当事者の意向が十分に反映されない可能性がある |
審判は、調停でも解決できない深刻な対立がある場合の最終手段です。そして裁判官の判断に委ねることになるため、必ずしもすべての相続人が満足する結果にならないこともあります。
遺産分割調停の詳細
遺産分割協議は相続人らで自由に話し合い、特に決まった方法で進める必要もありません。また、審判についてはあまり多く行われるものではありませんし、通常は先に調停を行うこととなります。多くの場合調停までに解決されるため、遺産分割のやり方について気になっているのならまずは調停について押さえておくようにしましょう。
家庭裁判所への申し立てが必要
遺産分割調停を開始するには、家庭裁判所への申し立てが必要です。申し立ての際には以下の点に留意しましょう。
- 申立人について
・・・相続人の1人もしくは複数人で申立人となる。包括受遺者や相続分譲受人も申立人となることができる。 - 相手方について
・・・申立人以外の相続人全員を相手方として指定する。 - 申立先について
・・・相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てる。 - 必要書類について
・・・申立書、戸籍謄本、住民票、遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写しや残高証明書等)などを準備する。
手続きの進み方と期間
まずは相続人の範囲の確認。そして遺産の範囲を特定し、各種財産の評価額を算定。その後具体的な財産の分配方法を決定していきます。
通常、1ヶ月に1回程度の頻度で調停は開催され、各回では申立人と相手方が交互に調停室に入り調停委員と話し合います。調停期間は事案によって大きく異なりますが、少なくとも数ヶ月を要し、場合によっては1年以上かかることもあります。
調停にかかる費用
遺産分割調停には費用がかかります。主な費用は次のとおりです。
- 申立手数料:収入印紙1,200円
- 郵便切手代:数千円ほど(申立先の家庭裁判所によって金額は異なる)
- 弁護士費用:弁護士に依頼する場合に発生
弁護士を活用する場合は費用負担が大きく変動しますが、その分スムーズに解決しやすくなり、また、ご自身に不利な結果も避けやすくなるでしょう。
調停の前に必ず協議が必要?
調停を申し立てる前に、必ずしも協議を行う必要はありません。しかし、以下のような状況下では協議を行わずに直接調停の申し立てを行うことも検討しましょう。
- 相手方との関係が極度に悪化している
例)DVや虐待の問題があるなど、直接の対話が困難または危険な状況にある。 - 相手方が一切の連絡や協議を拒否している
例)何度連絡を試みても相手方が応じない、または明確に協議を拒否している。 - 時間的制約がある
例)相続税の申告期限が迫っているなど迅速な解決が必要。 - 相続人の所在が不明
例)一部の相続人と連絡先・居場所がわからず協議の実施が困難。
調停から審判に移行するケースとは?
調停とは異なり、審判については自動的に手続きが移行することがあります。
たとえば調停が不成立となり、「当事者間だと合意が得られない」「一部の相続人が調停に出席しない」などの事情があるときは、職権により調停が審判へと移行することもあります。
審判へと移行した場合、当事者間の意向も考慮はされますが、最終的な決断は裁判官に委ねられるため納得のいかない結論が出される可能性もあります。そのため可能な限り調停までの合意形成を目指すことが望ましいでしょう。
Staff
資格者紹介

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属
ご挨拶にかえて
弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。
ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。
私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。
その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。
何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。
- 経歴
-
- 昭和28年7月
- 東京都文京区生まれ。
- 昭和51年3月
- 東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
- 昭和54年10月
- 司法試験に合格。
- 昭和57年3月
- 司法修習を終了。
- 昭和57年4月
- 第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。 - 昭和61年1月
- 古田・羽鳥法律事務所に参加。
- 平成3年9月
- 独立して羽鳥法律事務所を開設。
Office Overview
事務所概要
名称 | 羽鳥法律事務所 |
---|---|
資格者氏名 | 羽鳥 修平(はとり しゅうへい) |
所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F |
連絡先 | TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537 |
受付時間 | 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約) |
アクセス | 東京メトロ丸の内線「本郷3丁目駅」より徒歩6分、「御茶ノ水駅」より徒歩6分 JR線「御茶ノ水駅」より徒歩8分 都営大江戸線「本郷3丁目駅」より徒歩6分 東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」より徒歩10分 都営地下鉄三田線「水道橋駅」より徒歩11分 |

