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相続で揉めないためにしておくべき生前対策

相続をきっかけに家族・親族が揉めてしまうこともあります。このような事態を防ぐには生前からの対策が特に重要であり、当記事でも生前対策について詳しく解説していきます。

まずは財産の洗い出しにより状況を整理すること、そして起こり得る問題を想定して具体的な予防策を講じておくことが大事です。

 

財産の洗い出し

 

まずは自身が持つ財産の情報を整理していきましょう。

 

所有している不動産やデジタル資産、生命保険契約のことなどは特に重要な情報となりますので、エンディングノートにまとめるなどして相続人となる方が把握しやすいようにしておくと良いです。

 

また、財産の洗い出しを行う過程でさまざまな問題に気が付くこともあります。是正しておくべき問題、処分しておくべきものなどが見つかるかもしれません。

 

所有不動産の確認

 

不動産にもさまざまな種類があります。次の世代に居宅として残したいものから収益物件として残したいもの、あるいは空き家となる可能性があるものまでさまざまです。

 

そこで所有する不動産を整理し、将来的な取扱いについてどうしたいのかを考えていきましょう

 

また、不動産の状態についてもあらためてチェックしておきましょう。
例えば収益物件として相続してもらうことを想定していても、実際には老朽化が進んでおり近いうち大規模修繕や建て替えが必要となる状態かもしれません。そうなると相続前に必要な措置を講じておくことが重要ですし、入居率が低いなど運用状況が芳しくない物件については売却することも視野に入れる必要があるでしょう。

 

デジタル資産の整理

 

金融資産、有価証券など、すべての財産について状況を整理しておくことは大事です。

 

その中でもとりわけデジタル資産に関しては本人でなければ確認が難しいものも多いため、前もって一覧としてまとめておくことが望ましいです。

 

例えば暗号資産やFXなどの金融商品、ネット銀行・ネット証券の口座、電子マネーの利用残高、サブスク形式の会員サービスなどは通帳のような現物が存在しません。ネット上のアカウントを介してチェックする必要がありますので、IDやログインパスワードなどを忘れずにエンディングノート等にまとめておきましょう。

※パスワード情報などを記載した書面については安全に保管することに留意する。

 

生命保険契約の確認

 

生命保険契約の活用は、相続対策としてとても有益な手段です。特定の人物に相続財産とは別に生活資金・納税資金を渡すことができますし、節税効果も高いです。

 

ただしそれらの効果を十分に発揮するには、契約内容の見直しが必要となることもあります。

 

例えば契約当初から長期間経過している場合、家族や親族の状況が変動していることもあるでしょう。受取人として指定していた方が亡くなっているにもかかわらずそのまま放置されているケースもあります。
また、法定相続人の人数が変わると非課税で受け取れる保険金の大きさも変わるところ、非課税枠に余裕ができているケースもあります。このときは生命保険金が大きくなるよう見直すとより大きな節税効果が得られます。

 

揉め事を回避するための予防策

 

相続開始後のトラブルが起こらないよう以下の施策についてもチェックし、予防策の検討を進めていきましょう。

 

生前贈与を行う

 

確実に受け取ってほしい財産があるときは、相続を待たず贈与を行うことも検討します。存命のうちに渡すことで移転の手続きなどもサポートすることができます。

 

しかし民法上、被相続人からもらい受けた一定の財産については「特別受益」として相続財産に加算し、その分当該財産をもらい受けた方の法定相続分が控除されることがあります。つまり受贈者や受遺者の相続分が少なくなってしまうのです。

 

すべての生前贈与が特別受益と評価されるわけではありませんが、特別受益かどうかが争点となり揉めてしまうこともありますので、遺言書を使って「特別受益の持戻しの免除」をしておきましょう。

 

その旨を記載しておくことで、贈与を行った分を特別受益として考慮することなく遺産分割を行ってもらうことができます。

 

不動産の共有状態を解消しておく

 

ご自身だけでなく、ほかの共有者がいる不動産があるなら要注意です。

 

共有不動産に関しては所有者の一部が自由に売却・増改築・抵当権の設定などを行うことができません。もし、「老朽化が進んでいるため改築を行いたい」と考えてもほかの共有者の同意がなければ実行できません。納税資金確保のために売却するのも容易ではありません。

 

そしてそのまま相続が始まってしまうと、共有による問題が相続人にも波及してしまい、相続人が複数いるときはさらに複雑化してしまいます。

 

そこで共有者のいる不動産に関しては、なるべく共有関係の解消に向けて動いておきましょう。例えば土地を分筆して単独名義とするやり方、他の共有者から持分を買い取るやり方などがあります。

 

共有者間の協議、裁判所に請求をしたときの手続きに時間がかかる可能性もあるため、早めに取り組むことが大事です。

 

配偶者居住権を遺贈する

 

自宅以外の相続財産が多く残っていないケースでは、配偶者が自宅を相続することで生活資金として使える金融資産があまり取得できなくなる可能性があります。

 

このように配偶者の生活に支障が生じる危険性があるときは「配偶者居住権」の遺贈を検討してください。

 

配偶者居住権とは、配偶者が自宅に無償で住み続けることができる権利のことです。自宅を所有権と居住権に分けることで居住権の価額を下げ、その分配偶者が金融資産等を相続できるようにするため活用されます。

 

遺産分割協議などにより配偶者居住権を与えることも可能ですが、遺言書に「配偶者居住権を遺贈する」旨を記載しておけばより確実です。

 

遺留分に配慮する

 

特定の人物に多くの財産を受け取ってもらいたいときは、遺贈をすると実現できます。

 

ただ、ほかの相続人が持つ遺留分※を侵害するほどの遺贈を行ったときは、受遺者が遺留分侵害額請求を受けて金銭の支払いをしないといけなくなります。

※遺留分は、一定の相続人に遺産の一定割合の取得を保障する制度。

 

この請求が原因となって親族間、あるいは第三者との間で揉めてしまうこともあるのです。そこで、遺贈を行う場合にはあらかじめ各相続人が持つ遺留分の大きさを把握し、これに配慮しながら遺贈する財産を決めておくと良いでしょう。

 

あるいは、相続人の協力が得られそうなら生前に遺留分放棄の手続きを行っておくようにしましょう。

 

遺言執行者を定めておく

 

「遺言執行者」とは、遺言内容の実現に必要な財産管理やその他の行為をするための権利義務を持つ人物のことです。

 

遺言書を作成したときは相続人らの協力により財産の移転手続きなどを進める必要がありますが、足並みがそろいそうにない場合や遺言に反する行動を起こしそうな人物がいるときには、この遺言執行者を定めておいた方が良いでしょう。

 

ただし、遺言執行者を定めたときは相続人の権限が制限されますので、遺言執行者の仕事の遅さが原因でかえって揉めてしまう可能性もあります。
そのため遺言執行者を定めるときは、法律や財産の取り扱いに関して専門的な知見・経験を持つ人物から選ぶようにしましょう。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
アクセス 東京メトロ丸の内線「本郷3丁目駅」より徒歩6分、「御茶ノ水駅」より徒歩6分
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