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相続手続きの期限を過ぎてしまうリスクとは?各種期限についても紹介

相続手続きは多種多様で、期限が定められているものも存在します。そのため優先度の高いものを把握しておいて計画的に進めることが重要です。

必要な手続きを放置してしまった場合のリスク、具体的な手続きと期限もここで整理しておりますので、ぜひチェックしてください。

 

すべての相続手続きに期限があるわけではない

 

相続手続きには、法律で期限が厳格に定められているものと期限の定めがないものがあります。そのため手続きに着手する際はまず厳格な期限が設けられているものを把握し、優先的に処理すると良いでしょう。

 

一方、期限が法定されていない手続きだとしても早めに進めておくことが推奨されます。

 

たとえば「遺産分割協議」はいつでも行うことができ、たとえ相続開始から10年経過して実施したとしても法的には有効です。
しかしながら、遺産分割協議を行わなければ進められない別の手続きもありますし、相続開始から期間が空くと遺産分割協議が難航する危険性も高まってしまいます。

 

預貯金の解約・名義変更に関しても法律上の期限は存在しません。
しかし10年以上取引がない口座は休眠預金となる可能性があるなど、実務上は早めの手続きが望ましいといえます。

 

手続きを放置することで生じる3つのリスク

 

相続手続きに取り組まない、期限に間に合わない、などの問題によってさまざまな不利益が生じる可能性があります。そのリスクをここでは大きく3つに分けました。リスクを確認の上、相続手続きは早めに進めていくようにしましょう。

 

借金を背負うリスク

 

経済面で特に深刻な問題が「借金を背負ってしまうかもしれない」という点です。

 

相続放棄や限定承認の期限である「相続の開始を知った時から3ヶ月」を過ぎてしまうことでこのリスクが顕在化します。期限内に相続放棄または限定承認の手続きを行わなければ法律上「単純承認」したものとみなされ、被相続人の資産だけでなく負債までも引き継ぐことになるためです。

 

被相続人自身が借金をしていなくても、誰かの連帯保証人になっていたケースにも注意してください。主債務者が支払いを続けている間は問題ありませんが、支払いが滞った際には債権者から請求を受けてしまいます。

 

このような事態を防ぐには、相続開始後速やかに被相続人の財産調査を行い、契約書類や金融機関との取引履歴も詳細にチェックしていく必要があります。

 

遺産を受け取れないリスク

 

「遺言書によって自分の相続分が著しく少ない、あるいはまったく相続できない」という場合でも、配偶者や子など一定の法定相続人には遺留分があります。

 

遺留分とは法律上保障された最低限の取り分であり、遺産全体の数割程度であれば、財産を多く取得した人物に請求できるケースがあるのです。

 

ただしこのときの請求権は、相続開始および遺留分侵害を知ったときから1年以内に行使しなくてはなりません。権利が行使できるにもかかわらず放置をしていると、法律上その権利は消滅すると規定されているためです。

 

手続きが複雑化するリスク

 

期限がない手続きであっても、放置することで以下のような問題が生じる可能性があります。

 

  • 相続人の一部が亡くなり、その相続人が新たに当事者として参加する
    ※関係者が増えることで全員の同意を得るハードルも上がる。
  • 相続人が認知症になり、成年後見人の選任が必要となる
    ※本人に判断能力がなければ遺産分割協議などの法律行為は無効となる。
  • 相続人が海外に移住し、連絡や書類の取得が困難になる
  • 相続人同士が疎遠になり、連絡先すら分からなくなる

 

このような状況になると、遺産分割協議を成立させること自体が難しくなってしまいます。

 

いつまでに何をすべき?手続きの種類を整理

 

相続手続きを円滑に進めるためにも、期限の短いものから早期に着手して処理していくと良いです。次のようにいくつか期限が設けられた手続きがありますので、以下の期間内を目指して進めていきましょう。

 

期限

手続き内容

7日以内

死亡届の提出(死亡を知った日から)

3ヶ月以内

相続放棄・限定承認の申述(相続開始を知った日から)

※必要がなければそのまま放置して問題ない。

4ヶ月以内

被相続人の準確定申告(相続開始を知った日の翌日から)

※被相続人が確定申告を行っていなかったなど、必要がなければそのまま放置して問題ない。

10ヶ月以内

相続税の申告・納付(相続開始を知った日の翌日から)

※数千万円規模の遺産がなければ申告義務は生じないが、確認作業は必須。

1年以内

遺留分侵害額請求(相続開始および侵害を知った日から)

※請求の必要がなければそのまま放置して問題ない。

3年以内

相続登記の申請(不動産取得を知った日から)

※不動産を相続した場合に必須。

 

また、相続税の申告が10ヶ月以内であることとの関係から、遺産分割協議もそれまでに済ませておいた方が良いでしょう。もし手続きの進め方や期限内の処理に不安があるなら、弁護士にご相談ください。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
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