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家賃滞納を繰り返す賃借人への適切な対処法とは

家賃滞納は賃貸人にとっては常に存在するリスクで、滞納額もケースによって様々です。
家賃滞納の解決には早急な対応をする必要があります。
本記事では、家賃滞納を繰り返す賃借人への適切な対処法をご紹介します。

■家賃滞納者への対応の流れ
1.賃借人への連絡と交渉
最初にするべきことは、賃借人への連絡です。具体的には、電話や現地への訪問です。
家賃滞納の理由が単に払い忘れたなどの理由であれば、賃借人に連絡をするだけで解決する場合があります。
また、賃借人の手元にお金がない場合など、一時的に支払い能力がない場合は、何日までに支払いができるかといった今後の計画をたてることができます。

電話に出ない場合には、現地に訪問することをおすすめします。実際に現地に行くことで、家賃滞納の理由がみえてくることもあります。
例えば、賃借人の姿が確認できないときは夜逃げをされている可能性がでてきます。

以上を行う上で注意すべき点があります。
まず、早朝や深夜といった時間に督促を行うのは控えるべきといえます。
次に、賃借人が勤めている会社などに対して督促を行うことも控える必要があり、これは脅迫罪や業務妨害罪などで訴えられる危険性があるためです。

2.督促状を内容証明郵便で送付
賃借人との交渉ができなかったり、うまくいかなかったりした場合には、督促状を内容証明郵便で送ります。

送付先には賃借人だけでなく、連帯保証人も含みます。

内容証明郵便を送るタイミングですが、滞納額が少ない方が滞納は解消しやすいので、賃借人に連絡して支払いの意思が確認できなかった段階で賃借人と連帯保証人の両方へ送ることをおすすめします。
内容証明郵便で督促状を送ることで、法的措置に向けた準備にもなります。
また、弁護士の名前で送ることでより効果的になるといえます。

3.裁判
上記の行動を起こしても家賃滞納が解消されない場合には、法的措置に入ります。
主な方法は以下の3つです。

①支払督促手続
簡易裁判所へ申し立てを行います。メリットとして、時間と手間が比較的かからないということが挙げられます。
他の手段と比べて、証拠集めも簡単に済みますし、書類審査のみで終了するからです。
かかる時間は一般的に、一ヵ月半前後といわれていますが、賃借人から異議申し立てがあれば、民事訴訟へと移行するので注意が必要です。

②少額訴訟
家賃滞納額が60万円以下の場合は、この少額訴訟という制度を利用できます。
回収できる金額に60万円と上限はありますが、メリットとして必要な審理が原則として一回のため、時間がかからないことが挙げられます。

費用としては、申立手数料と切手代が必要になりますが、勝訴することでこれらの費用を相手に請求することが可能です。

しかしながら、相手が民事訴訟での審理を求めてきた場合には、民事訴訟へと移行してしまうことに注意が必要です。
さらに、この少額訴訟では物件からの立ち退きという措置までは請求できません。
物件からの立ち退きを請求したい場合には、民事訴訟を起こす必要があります。

③民事訴訟
民事訴訟は、時間や費用が比較的かかりますが、滞納された家賃を回収できるだけでなく、物件からの立ち退きまで請求できます。

詳細な証拠や書類、証人などが必要になる上、専門的知識も必要になってくるので、弁護士に依頼することをおすすめします。

物件からの立ち退きまで請求すると、訴訟が決着を迎えるまでに2年ほどかかってしまいます。
さらに、精神的にもストレスがかかるので、民事訴訟をする前の早期解決が望ましいといえます。

4.強制執行
民事訴訟で勝訴したとしても、それで即座に家賃滞納が解決するわけではありません。

立ち退きをさせるためには、まず裁判所から立ち退きの勧告をしてもらう必要があります。

賃借人が指定された期日までに対応しない場合には、明け渡し請求の訴訟を提起することになります。
この訴訟に勝訴すると、裁判所の執行官によって入居者は強制的に退去させられます。

強制執行にかかる費用としては、予納金というものがあり、基本額が6万5千円となっています。
さらに、荷物を引き出すための費用やその荷物を保管するための費用もかかってしまいます。
また、かかる期間は一般的に5カ月ほどといわれています。

■まとめ
今回は、家賃滞納を繰り返す賃借人への適切な対処法をご紹介しました。
法的な措置をとる場合は、費用や時間がかかるだけでなく、精神的にも負担がかかります。
したがって、可能な限り法的措置に移行する前の早期に解決することが重要となります。

当法律事務所の弁護士は、弁護士歴30年以上の経験と実績を生かして他にはないリーガルサービスを提供し、依頼者様第一主義で共に戦います。
相続・遺言や不動産トラブル、企業法務、訴訟問題、交通事故など様々な分野の法律問題を取り扱っており、司法書士・行政書士・税理士・公認会計士・不動産鑑定士など他士業との連携をとることで、ご依頼主様のニーズに合った解決を目指します。
文京区本郷を中心に、豊島区、台東区、北区などの地域に対応しておりますので、お困りの際は羽鳥法律事務所までお気軽にご相談ください。

Staff

資格者紹介

羽鳥 修平

羽鳥 修平Hatori Shuhei / 第二東京弁護士会所属

ご挨拶にかえて

弁護士という仕事は、使命感を持っていそしむべき専門職(プロフェッション)なわけですが、その依頼者(クライアント)の求めにどう対処すべきかについては、二つの異なる考え方が有ると言われています。

ひとつは、「依頼者から具体的な求めがあったら、その求めに真正面から取り組み、そこにポイントを絞って、答えれば良い。それ以上のことをするのは、余計なことであって、弁護士を業とする者の立ち入るべき領域ではない。」という考え方で、もうひとつは、「依頼者から具体的な求めがあっても、それを鵜呑みにすべきではない。依頼者の具体的な求めは、依頼者が抱えている問題を知るための出発点として、注意深く聞くべきだが、そうした聞き取りを通して、依頼者にとって、本当に求めているものは何かを「見つけ出し」、それを依頼者に説明していくというプロセスを通して、依頼者のためにどのような法的サービスを提供すべきか決めるべきだ。」という考え方です。

私は、若い頃から、「見つけ出し」をしようとする癖のようなものがあり、先輩の弁護士から「余計な事をするな、そんなことに首を突っ込むのは弁護士の仕事ではない。」とたしなめられ、腑に落ちない気持ちを持つことが、よくありました。

その後、30年以上がたち、私も、多様なそしてそれなりの数の事案と向き合う機会を持ちました。そうした経験の積み重ねを通して、私は、やはり弁護士たる者、「見つけ出し」から出発することをこそ、重視していかなければならないと、ますます強く考えるようになってきました。

何か問題に直面しているのですか。どうすればよいか、一緒に考えましょう。どうぞ、お気軽にご相談においでください。

経歴
昭和28年7月
東京都文京区生まれ。
昭和51年3月
東京大学経済学部を卒業、同大学院経済学研究科に進学。
昭和54年10月
司法試験に合格。
昭和57年3月
司法修習を終了。
昭和57年4月
第二東京弁護士会に登録。
アンダーソン・毛利・ラビノヴィッツ法律事務所に入所。
昭和61年1月
古田・羽鳥法律事務所に参加。
平成3年9月
独立して羽鳥法律事務所を開設。

Office Overview

事務所概要

名称 羽鳥法律事務所
資格者氏名 羽鳥 修平(はとり しゅうへい)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷3-6-9 エルデ本郷館3F
連絡先 TEL:03-3814-0527/FAX:03-3814-0537
受付時間 10:00~19:00 土日祝も対応可能(要予約)
アクセス 東京メトロ丸の内線「本郷3丁目駅」より徒歩6分、「御茶ノ水駅」より徒歩6分
JR線「御茶ノ水駅」より徒歩8分
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